2008年06月03日

五月末日

ちょうど一年前に出張で沖縄に来て

その日にここ、MOMAにたまたま入り

それから時々顔を出すようになったお客様


最初の頃は上司に連れられて来て

仕事について、熱い会話をしていたのを覚えています


やがて半年が経つ頃には

上司も本社に戻られたようで

一人で足を運ぶようになった


年齢も僕と近かった事から

その頃からようやく少し

打ち解けた会話をするようになりました


そんなこんなで時は経ち

四月の前半に店に来た時に

『五月一杯で、向こうに戻る事になりました。』と

聞かされて

『寂しくなりますね。』何て話しながら

先日、五月の二十九日だったかな

珍しく会社の人を連れて、飲みに現れた


僕は『いよいよこれで、最後かな。』と、思い

帰り際に

『お元気で。』と、握手をして見送って

少し寂しくなった




五月末日

いつものように営業して

閉店の時間も過ぎ

常連さん達が帰るまで、と

看板を消し、店の中で飲みながら

片付けに入っていたら

ふいにドアが開き

その人がやってきた


おそらく送別会だったのだろう

お酒は結構入っていて

注文したジントニックを飲む前にはもう

眠ってしまったのだけど

一緒に連れてきていた同僚達に起こされながら

三十分程したら、会計をした


僕は何と言うか

その時ようやく素直に、感動していた


あの時の僕とその人との関係は

同僚にも、MOMAにいた常連さんにも

MAにさえもわからないだろう


あの帰り際の一瞬の為だけに

この一年間はあったのだ

長い時をかけて

作られた物語

僕等は少し、大人になり

また一つ、素敵な思い出という宝物ができました


またいつかどこかで会いましょう

一年間お疲れ様でした

そして何より、ありがとう


今夜

全てのBARで起きている物語の一つ  

Posted by もぎん&マコト at 23:34Comments(0)TrackBack(0)今夜、すべてのBARで

2007年11月08日

今夜、すべてのBARで

内地に働きに出ていた友が、半年振りに帰ってきて

ひょっこり顔を出した。


最近までどうしようもなく悩んでいた友が、元気を取り戻し

店に来てくれた。


時が経ち、大人になる事で昔のわだかまりが解けた頃、

そんな友達同士がこの店で偶然出くわす。


お世話になった先輩が飲みに来て、来年式を挙げるから

出席してくれと言ってくれた。


友達が紹介してくれた人が、ここを気に入ってくれて

個人的に飲みに来るようになった。


全部が別の物語だけど、

同時進行で今夜も色んな事が起こっている、


店内の暗さにほだされ、ほんの少しだけ皆が本音を語りだす、

そうなればいいいなと思っていたように、

そんな場所になっている。


言わなくてもいい事は伝えなくていい、

怒るような事でもない、人それぞれの生き方、考え方を

店の空気とアルコールが緩和している。


ここでの偶然は時に必然である


何て、難しく考えずに

目の前のお客さんとお酒に身をゆだね

僕はただ流れに沿うだけで、

今夜も誰にも気付かれないまま

時間がゆっくり過ぎてゆく、

そう、ゆっくりと。



今日も皆が楽しくいられますように。



今夜、すべてのBARで起こっている物語の一つ。

  

Posted by もぎん&マコト at 03:02Comments(0)TrackBack(0)今夜、すべてのBARで

2007年10月03日

バーテンダー

私がこの店で過ごす時間もだいぶ長くなってきました

最近ではようやく

雨の日も 風の日も 病気の日も変わらずに

笑顔をつくることができるようになった気がします

昔は 弱った日には自ら酒をあおり 逃げたり 

お客様と喧嘩をすることもありました

色んなドラマを経て 私も少しずつ

ゆるがないこの店の一部となってきているのでしょうね


こう言っては強がりかもしれませんが

彼女と別れたことも本当はそんなに悲しいことではなかったのですよ

あの人は自分の道を見つけて 

その道の上に私が必要なかっただけですし

お互い重荷になるのは嫌だからと そうしたのでしょう

だから彼女には

「皆には私から別れようと言われたと言いなさい」

と伝えました

まぁ 強くて優しい人ですから 

きっとそうはしなかったのでしょうけどね


そういえば

最近会った時 とても元気そうで

その顔が私を安心させてくれましたし

私が与えることのできなかった その充実した顔を見て少し 

複雑な気持ちにもなりました

そんな風に

どこかで縁があり また会う機会がある時には

お互い笑ってお酒が飲めるように

お互いが努力をしていないといけないですね


危なっかしい所はありますが

幸せになれる優しい心の持ち主ですし 

友達にも恵まれて

凛とした人でしたので

心配はしていません


今夜は少し お喋りが過ぎましたね 

いえ 今日はちょうどあの人が長く勤めていた会社を辞めて

新しい道へと踏み出そうとしている頃なので

私もワクワクしましてね

そうですね 別れたのに嬉しそうなのも変ですよね

でも 人生は色々な形があるものですよ

それって だから素敵ですよね



今度はそちらの事を聞かせてください

そういえば あの話の続きはどうなりましたか?




・・・今夜、すべてのBARで起きている物語の一つ・・・  

Posted by もぎん&マコト at 02:01Comments(0)TrackBack(0)今夜、すべてのBARで

2007年09月08日

今夜すべてのBARで

日付が次の日に変わった頃、

一人でふらりと現れたお客さん

今夜のカウンターは少しにぎやかだったから

少々気を使いながらも端っこの席へと腰を下ろす。

新しく人が入った時、

店内の空気を調和させるまでが勝負だ、

そうする事が気持ちいいし、

僕等はそうい所に気を使うのが好きなのだ。


この日、何かが起きることは何となくわかっていた、

今日の最初のお客さんが

ちょうど一年ぶりに足を運んでくれた事と、

めったに来ない友人が顔を出したから。

偶然は連鎖する、

そしてそれは運命だったと一日の終わりに気づかされる。

こんな日はきっといろんな店で人と人が出会い、

笑ったり、泣いたりしているのだろう。


「私、今日これから告白しに行くんです。」

ドラマの3人目の主人公の幕が揚がった。

ひとりで気持ちをまとめて、盛り上げる為、

告白の準備をしに入った店がMOMAだったのだ。

恋をしている人の表情は無条件に美しいと思う、

人は他人でいた時は何も感じないのに、

知ってしまうとどうして落ち着かなくなるんだろう、

とうして別れが悲しくなるのだろう。

彼女は緊張でドキドキだろうけど、

こっちも何だか優しい気持ちになれる。

仕事にでも何にたいしても、

恋をするって事はとても大切ではなかろうか。

その恋がどうなるのかは神様すら知らない、

僕等は美味しいお酒を作ってあげるだけで、

ただそれだけだけど、

こんな日に関われた事は、とても誇りに思う。


店を出て行く時の彼女はとても良い顔をしていた、

MOMAは今日もここに在る、

その人がいつかひょっこり訪れる時のために。。


今夜、すべてのBARで起こっている物語の一つ。

  

Posted by もぎん&マコト at 20:35Comments(0)TrackBack(0)今夜、すべてのBARで

2007年08月03日

今夜、すべてのBARで

 
これはある町外れの小さなBARの物語


今夜も僕はカウンターで一人、飲んでいる。

ここのマスターは常に何かを考えている人だった、
それはとても幅広く、
ある程度マスターと仲良くなったからといって
たまに発する言葉で客は
「えっ、マスターってそんな人だったの!?」
等と困惑したりする。

例えば平和だったり宇宙だったり、未来だったり過去だったり、
可愛い子を見れば気になるし、ギリギリの勝負なら迷わず飛び込んでいって戦っちゃうような、
それでいてとらえ所の無い雲のような感じ。

ここにだいぶ通っている僕でさえ、 知ったつもりになって
いい気になっていたら、置いてけぼりくらうんだろうな。
それでも人を惹きつけるのは、根底には「愛と平和」があるからだろうか、これも推測の域を出ないが。

店が暇な時(まぁ大抵暇なんだけれど)
いたって真面目な会話を投げかけてみる、
「あぁでも無いこうでも無い」と言いながらマスターも酒を飲み、
その時その一瞬を楽しむかの様に、言葉遊びをする。
とりとめもないようなその会話は、恐らくは確実に時代を切り取っている、実は僕が一番好きなやり取りだ。

BARにいながらにして地球の裏側にある洞窟の奥底から、
宝物を見つけ出してきたようなその一言一言はいちいち的確で、
行くたびに用意している僕のま新しいモラルや一般常識という薄っぺらい壁は、
本質というでっかいハンマーの一撃で打ち破られる。

「人は皆同じではない」、僕は思う。

時間は昔から繋いできた大切な流れ、
でもそれは目に見えないから人は粗末にしたり、待ち合わせに遅れたり、
時にはわざと遅らせたりして、切った張ったを繰り返す。
大事にしている人と、していない人。

僕はどれだけ人生を有意義に、そして無駄に過ごしてきたのだろう?

今夜も時間が過ぎてゆく、ふと、好きだった歌詞を思い出す、

「嫌な噂を聞いて、君を呼び出してみたら  君らしくもない苦いお酒を頼んだ。 
嘘をつけば誰でも  夜が長く感じる、眠りたくないなら、僕も時計外そう。」

時間は使うとかじゃなくて、常にそばにあるもの、
自分の心の在り方で笑ったり怒ったり、予想もしない事が起こったり、起こらなかったり、
僕は今までそれをわからずに、うまく使えていなかったみたいだ、君はもう来ない・・・・


マスターはいつも通り、小難しい顔で近い未来の話をしている。

僕は「そんな事どうでもいいよ」とうそぶいて笑いながら、
一つの、事の終わりを噛み締めた。

「何か、苦いの作ってよ」と言ってみる。

そんな僕を見透かすように、
流れるような手つきで瞬く間にカクテルが出来る。

そしてひと言、
「頑張れよ。」

全く、かなわないなぁマスターには。



今夜、すべてのBARで起こっている物語の一つ。   

Posted by もぎん&マコト at 22:37Comments(0)TrackBack(0)今夜、すべてのBARで